銭湯で若く見える話をされた話

2026

銭湯に行く

実家に帰った際、人数が多いからとたまに行く銭湯。昔ながらの番台から二手に分かれるthe・銭湯で、何度か行ったが趣深く気に入っている。

休憩スペース(と言っても番台の前にちょっとしたテーブルと椅子を置いた2,3畳ほどの狭いスペース)に飾ってある本物かわからないキャプテン翼のイラストが書かれたサイン色紙。水色や青のタイルが敷き詰められた湯船。初めて見る蛇口の形状(きゅっと左右に捻ると、備えついたシャワーからお湯が出るが、ホースがついた取り外し可能なシャワーとは違い首根っこをぎゅぎゅっと前後左右に動かすくらいしか方向調整ができない)。膝小僧で押すことでシャワーをしながら洗面器にお湯を溜められる構造。電気風呂。アヒルのおもちゃ。誰しもが銭湯と言われるとイメージするようなものから、行ったことがないと知らないようなシステムまで、なんだか全てが新鮮で楽しいのだ。

来るお客さんは顔見知りの間柄であることが多いようで、挨拶したり世間話をしている。今日は早いのね〜なんて言ってるので、本当にみんなよく来る人たちみたいだった。

初めてきた時は、使い方わかる?なんて、みんなが丁寧に説明しにきてくれたりして、体だけでなく心もあったかくなった。

そしてここ、井戸水を引いているからか、お湯がとっても綺麗で透き通っていて、湯冷めがまったくない!すごい。

2度目の銭湯

そんなこんなで、2度目の銭湯にきた日の話である。

夫と2人だったので、番台から別れ1人で洗い場に向かう。洗い終え、お湯に浸かり、ふぅと一息。すぐそこの洗い場で二人組が話をしているが、聞いていると(聞いてるんかい)初対面のようだった。

1人が私の使ってる湯船に来て、「サウナに来たの?」と話しかけてきた。

ここの銭湯は、サウナもある。前回は娘もいたので入れなかったが、今日は入ってみたいと思っていたところだった。

「あ、そうですね、少し入りたいなと思ってます」と答えると、「あたしも久しぶりにサウナに入りたくなって来たのよ」と続けた。そして、「あたし、すごく若くみられることが多いの。若くっていうか、子供っぽくて。もう50歳なのよこれでも!」とさらに続けられた。

正直、50前後ともなると、しかもここは銭湯で、一糸纏わぬお姿を拝見しても、おいくつなのか、若く見えるのか、老けて見えるのか、全く見当がつかない。私はもう、すごく若く見える女性と思い込んで話すことにした。

結局、その時交わした数回の会話で私は、女性のサウナの入り方(5分入り、30秒水風呂、3分休憩を3セット繰り返すこと)、昔は毎日来ていたが、最近仕事でサウナに来れなかったことなどを話された。私の方も、サウナの入り方(12分入り、3分ほど水に入り10分休憩)を話した。

サウナにて

サウナに入った。人が3人ギリギリ並べるくらいの幅が3段。一番上の右側にはもうすでに人がいたため、わたしは一番下の段に座った。久しぶりのサウナ。2026年にやりたいこと、こんなに早く叶ってしまった。私はソワソワしていた。なにせ次女を出産して初めてのサウナである。熱で時折、部屋の隅の方がカンッと鳴る(あれなんでなるんだろう?)のを聞きながら、外にあるテレビを見ていると、先ほどの女性が入ってきた。

彼女は一番上の左隅に腰を下ろした。数分ほどたったころ、「上こなくていい?上の方があついよ!」と話しかけてきた。おおぉ。3人しか座れないその間にギュンギュンマッパで詰めてもらうのは、、と思いながら、あ、、とか言ってると、(あ、、じゃないよな)是と捉えられたのか、おいでおいで!と言われ、断ることもできずいわれるがまま腰を上げ、ぎゅむぎゅむっと入り込んだ。

最初からいた右側の人は、無言で壁側につめてくれる。

、、、、、いたたまれない。

さっきのとこで全然よかったのに!!!なんで断らなかったんだわたし!!ぎゅむぎゅむて!!!しかも外のテレビが見えなくなった!!!

なんだかそわそわして、テレビも見えず目のやり場もなくなったため、何もないであろう天井を仰ぐ。板目が古くなってるな。

「でも若くみられるのも心配なこともあるのよ」

またその話ぃ?!「あ、そうなんですね」「そうよぉ、このまま年取ってもこんな感じだと、電車で席とか譲ってもらえなかったらどうしようってすごく心配で!」「それはしっかり鍛えとかないとですね」

そんな身にならぬラリーを繰り返し、その女性は本当に5分ほどで一度出た。知ってる知ってる、5分ね。私ももうちょいで出よう。、、あと5分は入りたい。汗、出てきた、いいね。

そんなことを考えていると、右側の壁側に詰めてくれた女性が、外に出ようとしながら、「上に上がるとテレビ見えないでしょ。まあどっちがいいか人によるよねぇ。」と私に話しかけて出ていった。

、、、だよねぇ。なんだか深読みしたくなるお言葉だ。いや、ほんとに人によるよね。ね。ぎゅむぎゅむつめさせてほんと、、、ごめんね、、、!あと3分、、

ガラリ。いやほんとにすぐまた入ってきた!もっと休憩しなくていいの?!

先ほど話したサウナの入り方、全てまさにその通りで、わたしはこの女性のことはほぼ何も知らないのに、サウナの入り方は知っていて、昔から知ってる人の予想通りの行動を見ているかのような錯覚を覚える。

そこでも彼女のトークは止まらない。彼女の白髪がまだ一本も生えておらず、それは彼女の父の遺伝である情報をさらに追加されたところで私は切り上げますよと言わんばかりに腰を上げた。

なかなか汗をかいた。いいサウナだ。ガチャ、、「12分超えたじゃんっ☆」振り向くと笑顔でガッツポーズしている彼女に、「あっ、はいっ、超えれました」とささやかにガッツポーズを返して外に出た。

ひゅるっと火照った皮膚に冷たい空気をまとう。掛水をして冷水へダイブし、プシュウ〜〜〜、、と体から熱気が抜けてしぼんでいくのを感じる。これこれ、サウナの醍醐味。

しぼみながら、彼女にされたガッツポーズを反芻する。、、、、伏線回収された、、、、、。確かに私は12分で出てしまう話をして、彼女もまた、私のサウナの入り方を知っていたのだ。なんだかおかしくなって、整いながらぼうっと、ぷくくとしてしまった。

久しぶりのサウナにしては、なんだか邪念の多い日だった。まあでも、気持ちよく整えて、なんだかんだ最高だった、ぜひまた、違うサウナにも行きたい。

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